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こちらの記事では、クリーニング業界の市場動向について解説しています。現在の市場規模やクリーニング業に関する施設数の推移などに加えて、クリーニング業界のM&Aに関する情報についても紹介しています。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が行った調査によれば、「1世帯あたりの洗濯代」は2,000年は「10,562円」であるのに対し、5年後の2015年には「5,579円」となっており、およそ半分にまで減少しているという結果となっています。(※1)
上記の調査結果に世帯数を掛け合わせることによりクリーニング業界の市場規模を計算した場合、2000年は「5,008億円」、2015年においては「3,089億円」と推計され、およそ40%の減少ということになります。今後も少子高齢化が予想されているため、より市場規模が減少すると考えられる状況となっています。
※1 参照元:J-Net21 https://j-net21.smrj.go.jp/startup/research/service/cons-creaningagency.html
上記のように家庭向けのクリーニングの需要が減少した理由としてはいくつか考えられますが、下記のような要因が挙げられています。
現在、洗濯機や柔軟剤を含む家庭用の洗剤が高い機能を持つようになっている点や、洗濯機で洗えるスーツやアイロン不要のワイシャツが登場するといったように衣類が高機能化したことなどが、クリーニングの需要が減少とした理由として考えられています。
さらに、ファッション業界において低価格のカジュアルファッションが流行していることによってクリーニングに出さずに自分で洗濯をするケースが増えた点、また物価高騰などによる影響で節約志向が浸透している点に加えて、テレワークの浸透によりスーツ等を着用する機会が減り、ワイシャツをクリーニングに出す機会が減少したという点などが考えられます。
また、かつては衣替えをするタイミングでクリーニングを利用するといった人も多かったものの、近年では衣替えをするという習慣があまりなくなってきたとされていますが、この点もクリーニングの需要減少に影響しているとも考えられます。
厚生労働省による「令和4年度衛生行政報告例の概況」によると、クリーニング業の数は減少傾向にある状況です。2018年度からのクリーニング業(クリーニング所・取次所・無店舗取次店の合計)は下記のように推移しています。(※2)
2021年度から2022年度にかけては1年で3,862施設(4.8%)減少。また「クリーニング所(取次所を除く)」の数を見ると2021年度は22,580施設、2022年度は21,299施設となっており1,281施設(5.7%)の減少となっています。
※2 参照元:厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/22/
上記のように、クリーニングの需要が下がるとともにクリーニング業の施設数が減少する中で、大手のクリーニング業者による大型商業施設やスーパー、駅ビル、コンビニなどへの出店の強化が続いている状態となっています。その動きに伴い、町中にあるクリーニング店の経営状況が厳しい状況に。このことから、大手のクリーニング店が地方にある中規模チェーン店をM&Aするといった動きも多く見られるようになってきています。
さまざまなM&Aが進められている一方、都市部ではまた異なる動きが見られています。例えば、インターネットを活用した宅配業者などが、大手のクリーニング自業者などの出資により、業容の拡大を図っている状況となっています。以上のから、クリーニング業という枠組みにとらわれずに、衣類に関する総合サービスをどのように展開していくか、といった点も重要なポイントになってくると考えられます。